Bill Evans The Solo Sessions Vol.1 & Vol.2

ビル・エバンス ソロ・セッション

Bill Evans(p) Jan.1963 Milestone

リバーサイドに歴史的な4部作を録音して間もなく、スコット・ラファロが25歳の若さで事故死してしまう。

その後、チャック・イスラエルを迎え、新たなトリオを組むまでの間の1963年に録音されたソロ・ピアノのアルバムである。

ビル・エヴァンスにとって、初めてのフルサイズ・ソロ演奏なのだが、彼の存命中には発売されず、死後9年たった89年にVol.1が、92年にVol.2が発売された。

聴いてみると、彼らしからぬ演奏も収められているが、先入観を捨て去り、当時の彼の心境をおもんばかりながら聴くと、単純に完成度という尺度だけでは語れない、彼の世界が見えてくる。

例えば、Vol.1とVol.2に入っている【what kind of fool am I】は、違った印象を受けるアプローチだったり、そもそも演奏されているキー自体が違っているのだ。

更に、Vol.2の冒頭を飾る【All The Things You Are】の後半に聴かせる激しい演奏などは、彼には珍しく攻撃的な印象をうける。

後年、失意のどん底で録音されたと言われる【You Must Believe in Spring】とは違った喪失感を感じてしまうのだ。

尚、リバーサイドに残されたソロ演奏から抜粋して2002年に発売されたコンピレーション・アルバムの【Waltz for Debby Bill Evans Solo】にも、このアルバムから数曲が収められている。

こちらのアルバムも、表題作の【Waltz for Debby】や【Danny Boy】は、一聴する価値はある。

ひと仕事終えてからゆっくりと飲むときの定番アルバムが増えたことが嬉しくて仕方ない。

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