Robin Gardiner & Dan van der Vat
ロビン・ガーデナー&ダン・ヴァンダー・ヴァット(著)
内野 儀(訳) 1996年 集英社
人類史上、科学が最も目覚ましく発達したであろう20世紀。
その開始期である1912年4月15日、当時の造船技術の粋を集めて建造された巨大豪華客船タイタニック号が大西洋の藻くずと消えた。
機械文明の極致を歩みだした人類の象徴とも言える、沈むはずのない技術の結晶が、いともたやすく沈んでしまったのである。
その結果として、さまざまなタイタニック伝説が生まれることになる。
著者である二人が、大胆な仮説と丁重な筆致で、その真相に迫ってゆくのが本書なのだ。
それは、あたかも絡みついた糸玉を解きほぐすようである。
とは言え、この手の本に見受けられる仮説の立証に基づいた事実解釈が多いところは否めない。
しかしながら、冒頭にあるタイタニック号の勇姿や、船と運命を共にしたエドワード・J・スミス船長の写真をはじめとして、随所に掲載されている当時の写真を見るだけでも、本書を手にする価値はあると思う。
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