鱒渕 但馬守(著) 2000年 風慶社
人生には幾度かの節目がある。
その中でも劇的ともいえる節目を迎えるのは45歳であるとい観点から、歴史上の人物を題材に取り上げ、それぞれの45歳を考察している。
たとえば、求人の年齢制限は【45歳】で区切られ、職種も件数もまったく違ってくる。
求人のコーナー自体が分けられてしまっているのだ。
高齢化の進んだ現在には当てはまらないかもしれないが、2000年初頭は確かにそうだった。
【45歳】辛いといえば辛い年齢。
しかし、見方を変えれば自分の実力をフルに発揮できる年齢でもある。
20代、30代では不十分だった経験や人脈の蓄積があり、肉体も頭脳も老化の兆しはまだ感じられないだろう。
これが50代、60代では気力があっても体力がもたない。
つまり、それまで歩んできた道のりの総決算を迫られる年齢。
言いかえれば、『前半生のおとしまえをつけた上で後半生に挑むのが45歳である』と、著者は論じている。
これからこの年齢を迎えられる方、あるいは現在真っ只中の方はどう思われるだろうか。
50歳を過ぎたころに読んだ私としては、昭和天皇と稀代の殺人鬼アンドレイ・チカチーロを同列で評してしまう著者の感覚が、何とも痛快で面白かったことを思い出した。
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