CALLE 54|カジェ54

フェルナンド・トルエバ監督により、2000年に製作されたラテン・ジャズの傑作ドキュメンタリー映像である。

私は音楽ドキュメンタリーの類の映像は、ずっと敬遠してきた。

それは、音楽ドキュメンタリーとは名ばかりで、主役であるべき音楽を脇役にした作品が多かったからである。

そんな私の価値観を根底から覆してくれたのが、この作品なのだ。

華美な背景は無論のこと、無駄なナレーションなどは微塵も無く、音楽を聴いて欲しいという心情がひしひしと伝わってくる。

中でも、ベボ・バルデスとイスラエル・ロペスが共演したこのシーンが一見の価値がある。

しかし、何といっても、5年ぶりに再会したベボとチューチョ・バルデスの父子のDuoのシーンが非常に印象深かった。

息子に向ける父親の眼差しが心に染みる。

私が叶えるすべを無くしてしまった、父親とのふれあいを目にするたび、羨ましさと淋しさが入り混じった思いが湧きあがってしまうのだ。

紹介はするが、お勧めすることははばかってきた私であるが、この作品は掛け値なしでおすすめしたい。

廃盤になる前に手に入れて損は無い一枚だと思う。

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