フェルナンド・トルエバ監督により、2000年に製作されたラテン・ジャズの傑作ドキュメンタリー映像である。
私は音楽ドキュメンタリーの類の映像は、ずっと敬遠してきた。
それは、音楽ドキュメンタリーとは名ばかりで、主役であるべき音楽を脇役にした作品が多かったからである。
そんな私の価値観を根底から覆してくれたのが、この作品なのだ。
華美な背景は無論のこと、無駄なナレーションなどは微塵も無く、音楽を聴いて欲しいという心情がひしひしと伝わってくる。
中でも、ベボ・バルデスとイスラエル・ロペスが共演したこのシーンが一見の価値がある。
しかし、何といっても、5年ぶりに再会したベボとチューチョ・バルデスの父子のDuoのシーンが非常に印象深かった。
息子に向ける父親の眼差しが心に染みる。
私が叶える術を無くしてしまった、父親とのふれあいを目にするたび、羨ましさと淋しさが入り混じった思いが湧きあがってしまうのだ。
紹介はするが、お勧めすることは憚ってきた私であるが、この作品は掛け値なしでおすすめしたい。
廃盤になる前に手に入れて損は無い一枚だと思う。
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