|ジン|ライム・ジュース|シュガー・シロップ|
外見は全く違うカクテルですが、中身はほぼ同じカクテルです。
ジンとライムの割合が3:1で、そこにシュガー・シロップを1tsp加えます。
正式なレシピでは、甘みが加わったコーデュアル・ライムを使うとなっていますが、当店にはありませんのでフレッシュ・ライムで代用し、シュガー・シロップで甘みを加えています。
違いといえば、作る技法と提供するスタイルの違いです。
【ギムレットは】シェイクしてショートで作りますが【ジン・ライム】はロック・グラスにビルドで作ります。
でも、この技法の違いが、味にの変化に大きく関わっているのです。
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レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説【長いお別れ】の中で、テリー・レノックスとフィリップ・マーロウとの一説
“I suppose it’s a bit too early for a gimlet,” he said.(「ギムレットには少しはやすぎる」と、彼は言った)
この台詞のお陰で、一躍有名になってしまった【ギムレット】
その煽りを食らって“手抜きのギムレット”などと揶揄され、不遇の時代を経験した【ジン・ライム】
何とも因縁めいたカクテルだと思いませんか?
【ギムレット】は、この小説のイメージから、男性的なカクテルと思われがちですが、私は【ジン・ライム】の方が男っぽく感じてしまいます。
シェイクすることでまろやかさを増す【ギムレット】に対して、そこまで混ざり合うことなく、ジンとライムがグラスの中で喧嘩している【ジン・ライム】の方が、そう感じてしまうからです。
機会があれば飲み比べをしてみてください。
きっと、違いに驚かれると思います。
小説の中に出てくる【ローズのライムジュース】を手に入れて、この時代の【クラシック・ギムレット】を飲むのが、ちょっとした夢になっています。
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