私たちに姓名があるように、物にも名前がある。
その物を説明する場合は、正式名称を使ったほうが伝わりやすい。
しかし、それを知らなくても、日常で困ることは少ないのも事実である。
気泡緩衝材を知らなくてもプチプチ・クッションで通じてしまうようなものだ。
それに、ポリ・バケツのように商標の方が広まってしまっている物もある。
【ポリバケツ】は、積水テクノ成型社の登録商標とのことです。
思い返せば、ひとつやふたつあるのではないだろうか。
私のそれは【スナップエンドウ】である。
これが相方の好物だったこともあり、幾度か食卓に載るうち、私も好きになってしまった。
あるとき、相方に食べさせようと思い、スーパーで探したのだが見当たらない。
売り場を尋ねようとして、ハタと困った。
名前が判らないのである。
尋ねようにも名前が判らないのでは手立てがない。
考えた挙句、閃いたのが【太めの絹さや】だった。
その場は、言い得て妙だと胸を張りたい気分だったが、あとでよく考えてみれば失笑ものである。
幸いなことに、対応してくれた店員の方が優しい方で、なおかつ細身だったお陰で、笑われもせず(内心では吹きだしていたのかも知れないが)教えていただいた。
正式名称【スナップ・エンドウ】は、季節が早すぎて、まだ出回っていないとのことだった。
まがりにも歳を重ねたせいか、豚型蚊取り線香が【蚊やり豚】、単行本に付いている栞紐が【スピン】などと、どうでもいいことは知っている。
その癖、肝心なところが抜け落ちているのだ。
知っていそうで知らないことは、結構、多くある。
しかし、ありがたいことに、知りたいことがあれば容易に検索できるのが、今のご時勢でもある。
小難しいと、相方が眉をひそめることばかり調べていないで、日常的なことも身につけようと反省したことが、何よりの収穫であろう。
とは言え、こんなことも知っているぞとばかりに、どうでもいいことをひけらかす【雑学オヤジ】だけは、願い下げなのは言うまでもない。
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