ぼくたちの失敗

1976年に発売された森田童子の2nd.アルバムに収録された曲である。

確か、シングル・カットもされていたと思う。

ぼくがひとりになった部屋にきみの好きなチャーリー・パーカー見つけたヨ ぼくを忘れたカナ

森田童子 僕たちの失敗

という歌詞にかれて、何度も聴いていた記憶だけが残っている。

当時を振り返ってみても、彼女の根強いファンはいたものの、個性的なメロディーと歌詞から、一般受けするものではなかった。

やはり、この歌が脚光を浴びたのは、真田広之と桜井幸子の主演で放映されたドラマ【高校教師】の挿入歌として使われてからだっただろう。

教師と生徒の恋愛をはじめ、近親相姦、同性愛など、タブーな領域を扱ったこのドラマである。

現代では到底放送できない内容だが、当時でも賛否両論だった。

同年代の娘をもつ父親だった、当時の私には、我が事のように感じ、毎週欠かさず観ていた。

その裏側には、ジャズ喫茶に入り浸りだった二十歳前後の自分を投影した姿を見ていたのかもしれない。

青春といえば、希望に満ちたとした時代と形容されることが多い。

しかし、あの時代を私の青春と呼ぶとすれば、私には、切なさだけが残るザラついた時代でしかない。

できることなら消してしまいたい時代である。

かと言って、青春が無いのは、些か淋しい気もしてしまう。

そこで、あらためて青春について考えてみた。

私の永遠の愛読書である【青年は荒野をめざす】五木寛之(著)の一説が思い浮かんだ。

人生は何度でも新しくなる。青春は、その人の気持の持ちようで、何回でも訪れてくるんだよ

五木寛之(緒)青年は荒野をめざす

案外、最愛の相方と素敵な仲間に囲まれた、今が私の青春なのかも知れない。

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