物の価値は人それぞれである。
突然に降って湧いたウイスキー・ブームのお陰で、長らく日陰者だった茶色の酒が陽の目を見たのは嬉しいことだが、不都合な面もある。
あおりを食らっての原酒不足。
追い打ちをかける買占め。
理不尽な価格の高騰などなど。
ジャパニーズ・ウイスキーから火の手が上がり、スコッチ・ウイスキーに飛び火して、あろうことかバーボン・ウイスキーにまで延焼してしまった、
ウイスキー好きにとっては、痛し痒しなところである。
サントリー・ビーム社のプレミアム・スモール・バッチ・シリーズの雄である【ブッカーズ】が最たるもので、出荷年ごとの価格高騰が尋常ではなくなった。
定価の倍ぐらいが標準価格になっている。
【ブッカーズ】は確かに旨い。
他に類を見ないという表現が浮かんでくる味わいである。
しかし、定価の倍以上でしか入手できない現状なら、別の銘柄を選んでしまう。
私の価値観ではそうなってしまうのだ。
先を見越して4年前に仕入れた2本の【ブッカーズ】も底をつき、今では店のメニューから消えている。
願わくば、このバブルのようなブームが落ち着きを取り戻し、本来の価値で美味しく飲める日が来ることを祈ってやまないのである。
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