Any Day Now|チョコレートドーナツ

人間が裡に秘めた強さを感じる映画だった。

様々な偏見が残っていた70年代後半のアメリカで、それに翻弄されながらも、果敢に立ち向かう姿が描かれている。

この手の作品は、得てして優しさだけで描かれることが多い中、力強さを前に出しているところが好印象だった。

だからだろう、【マルコ】の望むハッピーエンドではなかったこの作品が、それを感じさせる終わり方になっている。

映画はハッピーエンドがいいと思っている私には、切なすぎて言葉にならない結末だった。

舞台となっている1979年と比べれば、この作品が作られた2012年には、偏見や差別も大幅に緩和されたとはいえ、少なからず残っている時代である。

アラン・カミング扮する【ルディ】が歌うボブ・ディランの【I Shall Be Released】に込められた思いは伝わるのだろうか。

それにしても、邦題に関しては、いつも感じてしまうのだが【チョコレートドーナツ】は如何なものだろう。

判らなくもないが、その響きだけで、この作品が違う方向に捉えられてしまいそうな気がしてしまう。

やはり原題の【any day now】の方がしっくりくる。

コメント