
土岐雄三(著) 文化出版局 昭和61年(1986年)
相方のお供で古書即売会へ出かけた。
相方はお目当ての本があったらしいが、私は取り立てて欲しいものは無かったので送迎役である。
それでも、古本の香りに懐かしさを感じながら、小一時間ほど過ごすうち、眠っていた本好き虫が目を覚ましたようで、気が付けば数冊手にしていた。
中でも、表題が気に入って手にしてしまった本書。
明治生まれの著者が、昭和も終わろうとしていたころに執筆された、晩年の作品である。
昭和後期を時代背景とした、老人への余計な配慮やお節介の類が、軽妙な文体で綴られてあり、読み進めながら何度もほくそ笑んでしまった。
著者があとがきに記しているように、まさしく「老人のタワゴト」なのである。
生きづらくなった世の中を声高に主張するのではなく、お茶でも飲みながらボソっと愚痴る感覚が秀逸なのだ。
本書が執筆された当時の私は三十路半ばだったので、そのころなら手にすることはなかっただろう。
それが、当時の著者との年齢に近づいた今、手にすることができた幸運をありがたく思えている。
近ごろ出不精になったと感じていた。
いい機会だから、あの頃のように古書店巡りでもしてみようと思い始めている。

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