手紙とメモ用紙

手紙 コーヒー メモ帳

手紙の文章、とりわけ女性のそれは皆さん美人顔だ。

紅をさすように自分の気持ちに薄化粧をほどこして書かれた文字たちは、読んでいて心地よい。

用件を伝える手段としてなら、電話で話す方が手っ取り早く確実だ。

それどころか近頃では、LINEをはじめとしたSNSでのやり取りが大半を占めている。

しかし、電話で話す生の声や短文でのやり取りと比べれば、手紙の文字で語られる言葉には夢が感じられ、その夢の分だけ優しさや温もりが伝わってくると感じるのは私だけだろうか。

とは言え、昨今、手書きで文字をしたためることは極端に少なくなってしまった。

キーボードを叩き、プリントアウトすれば見栄えのよいものが即座に出来上がるのだから、今更、手書きする選択肢など浮かばないのだろう。

それ以前に、紙媒体での書簡のやり取りそのものが極端に減ってしまったのが現状である。

送信ボタンを押しさえすれば、たちどころに相手に届くのだから、まったくもって合理的だ。

アナログを自負する私でさえ、文章の殆どはキーボードを叩いて作っている。

流石に署名だけは自筆でするようにしているのだが、元来、悪筆である私にとって、キーボードは正しく救世主なのだ。

しかし、その恩恵に甘え続けたせいなのだろうか、いざ手書きをはじめると漢字が全く出てこないことに気づいてしまった。

おぼろげながらの形は浮かぶのだが書けない。

挙句、キーボードを叩き検索する羽目になる。まったくもって、本末転倒以外の何物でもない。

閑話休題。

呆けはじめた頭に活を入れようと、久しぶり手紙を書きはじめてみた。

もちろん、出す宛てなど無いので気は楽だ。

それでも、数行書き進めた途端、案の定、漢字がまったく出てこない。

本末転倒にならないようにと、使い慣れた辞書を手にするが、今度は文字が小さすぎて老眼では判読できない。

何というジレンマ。。。ん?ジレンマ?これも漢字が出てこない。

調べると語源がラテン語。

どうりで漢字が思い浮かばない筈だ。などと、無意味な所で溜飲を下げているようではお先真っ暗である。

それならば、せめてメモぐらいは手書きにしようと、こんな夜更けに、せっせとメモ用紙を作りはじめている。

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