飲み比べ|ウッドフォード・リザーブ

プレミアム・バーボンと聞いて、私が真っ先に思い浮かぶのは【ブラントン】です。

でも【ブラントン】の、パワフルで男性的な飲み口とは対極にある【ウッドフォード・リザーブ】もプレミアム・バーボンとして知られています。

豊かでふくよかなボリュームと、まろやかでスムーズな口当たりは【ウッドフォード・リザーブ】の代名詞にもなっています。

【バーボン】だけではなく【ライ】【モルト】【ウィート】と、色々な原材料を使った【ウッドフォード・リザーブ】を飲み比べてみました。

ウッドフォード・リザーブってどんなバーボン?

【ウッドフォード・リザーブ蒸留所】は、ケンタッキー州のウッドフォード郡にあります。

ここはサラブレッドの産地としても知られているので、ケンタッキー・ダービーのオフィシャルドリンクに指定されているのも納得できます。

蒸留所の歴史は古く1812年に設立された【オールド・オスカー・ペッパー蒸留所】だとされています。

その後、紆余曲折を経て2003年から【ウッドフォード・リザーブ蒸留所】と改称し、現在に至っています。

ウッドフォード・リザーブの特徴的な製法としては、次の3点があります。

  • マッシュビル
  • 発酵
  • 蒸留

マッシュビルは公開されていて、例えばバーボンでは【トウモロコシ72%・ライ麦18%・大麦麦芽10%】と、トウモロコシの含有率が高く設定されています。

発酵には、現在でもイトスギで作られた【木製樽】が使われていて、6日間かけて発酵が行われます。

これはバーボンの発酵期間としては異例の長さで、ステンレス製に比べ保温性が優れている木製樽を使う最大の理由だとされています。

ウッドフォード・リザーブの最大の特徴となっているのは【単式蒸留器(ポットスティル)】の使用です。

バーボンの多くは、生産性に優れた【連続式蒸留器】が用いられますが、ウッドフォード・リザーブは【単式蒸留器】での3回蒸留を頑なに守っています。

この他にも

  • サワーマッシュで還元するバックセットの量を10%以下に抑える(通常は30~40%)
  • 蒸留時のアルコール度数を低くする(77.5%)
  • 天板と底板にもチャーリングを施す

などと、老舗の伝統に胡坐をかくのではなく、新しい技術を取り入れる姿勢から【ウッドフォード・リザーブ】ならではの飲み口が出来上がった訳です。

5種類のウッドフォード・リザーブ

現在5種類の店在庫があります。

それぞれ原材料が違っていても【ウッドフォード・リザーブ】らしい、雑味を感じさせないスムーズな飲み口は共通しています。

ウッドフォード・リザーブ(86.4プルーフ)

スタンダード・ボトルです。

口に含むと最初に僅かなエステル感がありますが、すぐに消え、果実系の香りが広がります。

後の余韻に甘さが加わりゆっくりと消えていきます。

この、あくまでもエレガントで主張しない飲み口が【ウッドフォード・リザーブ】なのでしょう。

近頃は、ウイスキー・ベースのカクテルに使われる頻度が増えているのも頷けます。

アルコール感は弱く【ニート】でも充分楽しめると思いますし、逆におすすめしたい飲み方です。

でも【ノアーズミル】などを好まれる方には物足りなさを感じるかも知れません。

ダブル・オークド(86.4プルーフ)

熟成の終わった原酒を、特別に作った専用の樽で後熟成した逸品です。

スタンダードに比べ厚みのあるコクが数段増しています。

口に含んだ途端、甘さを伴った樽の香りが広がり、余韻も長く続きます。

骨太なバーボンにありがちな雑味は、ほとんど感じられません。

あくまでもエレガントさを失うことなく、パワフルな飲み口を味われる稀有なバーボンだと感心することでしょう。

ほぼ完成形に至ったバーボンだと言ってもいいと思います。

元来【ウッドフォード・リザーブ】好きな私の感想ですので、褒めすぎた感はありますが、自信を持っておすすめしたい1本には違いありません。

ストレート・ライ(90.6プルーフ)

マッシュビルは【ライ麦53%・トウモロコシ33%・大麦麦芽14%】で、ライ・ウイスキーとしてはライ麦の比率が抑えれれています。

スタンダードにライ麦のスパイシー感を加えた飲み口になっています。

最初にライ麦の香りが広がりますが、すぐにバニラ系の甘さがやって来ます。

甘さとスパイシー感のバランスがいいので【ライ・ウイスキー】を飲みなれていない方でも大丈夫だと思います。

日頃から愛飲されている方でしたら、その上品さに驚かれると思います。

これから【ライ・ウイスキー】を試したいと思っている方にもおすすめできます。

ウィート(90.4プルーフ)

小麦を主原料にした珍しいウイスキーです。

小麦らしい柔らかな口当たりと、主張しない香りのバランスがいいので、すんなりと喉を通っていきます。

あくまでもスムーズに体の中に入っていく感じです。

でも、見方を変えれば、個性を感じる部分がなく、最後まで物足りなさが残ってしまう飲み口です。

他の銘柄を飲んだことがありませんので、何とも言えませんが、これが【ウィート・ウイスキー】なのかも知れません。

でも、残念ながら私の趣向とは違っています。

と言うわけで、店在庫はこのボトルだけにしますので、飲んでみたい方は、お早めにお試しください。

モルト(90.4プルーフ)

大麦麦芽を主原料とした【アメリカン・ウイスキー】の縛りでの【モルト・ウイスキー】です。

大麦麦芽100%ではありませんが、口に含むと麦芽の香りが広がります。

スコッチやアイリッシュのモルト・ウイスキーには無い香りですので、好みは分かれるでしょう。

麦芽の香りそのものが苦手な方は受け付けないレベルだと感じました。

しかし、その後には【ウッドフォード・リザーブ】ならではのバランスで、余韻が長く続きます。

私は好きな飲み口ですが、万人受けするとは思えませんので、これもこのボトル限りとしました。

飲みたい方は、お早めにお試しください。

まとめ

あくまでもエレガントでスムーズな飲み口で、カクテル系のバーテンダーからは絶対的な人気を得ている【ウッドフォード・リザーブ】

どんなアイテムとでも馴染んでしまう飲み口ならではの所以でしょう。

【アメリカン・ウイスキー】を飲みはじめると、いつしか骨太な方へ向かってしまうのは、仕方ないことです。

でも、芯にある骨太さは感じさせずに、スムーズに喉を通っていく【ウッドフォード・リザーブ】の魅力に嵌ってしまうと、抜け出せなくなってしまいます。

これを機会に、是非、嵌ってみませんか?

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