夜毎交わされる酒場の会話。
聞き耳を立てている訳ではないのですが、それとなく耳に入ってきます。
酔いが回れば本音も出るのでしょう。
中には、キラリと光る原石のような名言を耳にすることがあります。
それを、自分への戒めにと書き留めた備忘録。
【某月某日】 私と同年代と思しき男性のつぶやき。
テーブル席で三人の若者が雑談をしていました。
今どきの若者らしく、エチケットは心得ていらっしゃって、お互いが聞こえる範囲のボリュームで話しされているので、内容は余り届いてきません。
それでも、酔いも回ってくればボリュームも上がってくるのでしょう、少しずつ内容が聞こえてきました。
近頃、取りざたされることが増えた、切れる高齢者への不満でした。
言ってることはごもっともで、高齢者に足を踏み入れている私としても耳が痛い話です。
カウンターの隅では、静かにバーボンを飲まれている男性がお独り。
私と同年代とお見受けするのですが、いつも粋に飲んでいらっしゃるので印象に残っています。
以前、こんなエピソードがありました。
いつもミックスナッツをオーダーされるのですが、やはり硬いものが苦手になってきたのでしょう、ジャイアント・コーンを選り分けながら召し上がられていたので
「次回からはジャイアントコーンを抜きましょうか?」
とお尋ねしたところ、
「いやいや、大丈夫、ここはミックスナッツなんだし、選り分けるのも楽しいから」
とおっしゃってくださいました。
Haru
私の余分だった一言を、粋に受け流してくださったのです。
その御仁の、ピスタチオの皮を剥きながらのつぶやき。
*
『みんな、お前らの成れの果てだよ』
*
Haru
私はその御仁に、取って置きのバーボンをサービスしたくなってしまいました。
願わくば、この若者たちがそうならないようにとの思いを込めて。
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