
【成長は、背伸びの繰り返し】とも言われます。
私にも、精一杯背伸びしていた時期がありました。
周りの方々は、さぞかし迷惑だったことでしょう。
それでも、暖かな心で見守り、優しく包んでくださったお陰で、今の私があるのだと心から感謝しています。
その私も、今は、見守る側になってしまいました。
*
「俺ってさぁ、バーボンは飲むんだけど、ウィスキーは飲まないんだ」
「へぇ~、じゃぁ、詳しいんだ、バーボン」
「ひと通りは飲んでるけどね」
「じゃぁ、ここに並んでるのは?」
「大体は飲んでるね」
「すごぉ~い!!」
彼を見つめる彼女の瞳には、お星様がきらめいています。

バーボンもウイスキーなんだけど。。。
「あそこに並んでる透明なお酒はなに?」
「ウォッカって奴さ。おまえなんかが飲んだら、ぶっ倒れちゃうぞ」
「強いんだ?」
「まっ、俺はガンガンいちゃうけどな」
「じゃ、どれにする?」
「今夜はやめとくよ。あとがあるし。。。」
「やだぁ~」

やだぁ~ウォッカだけじゃなくて、ジンもテキーラも並んでるんだよぉ~
「マスター!こいつ弱いんで軽いカクテル。俺はマスターお勧めのバーボン!」
「飲み方はどうします?」
「ハーフ・ロックで」
彼女の瞳のお星様は、一段ときらめきを増しています。
その彼女には、リキュール・ベースで爽やかなロング・カクテルを作るとして、彼には何を。。。
私の好きな銘柄は決まっています。
でも、いささか値が張るものばかりです。
それなりの年齢の方なら、黙ってそれをお出します。
こちらも商売なのだし、私のお勧めなのですから。
でも、そこは見守らなければならない側の使命感があるのです。

マイナーな銘柄だと彼も困るだろうから【ワイルド・ターキー101】ぐらいかな。。。
「流石っ、マスター判ってるねぇ~」
「おいしいの、それ?」
「今まで飲んだ中で、一番ヤバイ、バーボンかな」
彼女のお星様は、すでに身体全体に広がり、光り輝いています。
私は、このキュートでチャーミングな彼女のためにも、彼に向かってエールを送りたくなってきました。
そして、心の中で『がんばれぇ~!』と小さく叫んだあと、正真正銘のお気に入りを、自分のグラスに注いだ夜でした。

これはフィクションでmy Styleのお客様とは関係ありません。。。たぶん
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