フォア・ローゼスは、バーボン(ウイスキー)と聞いて思い浮かぶポピュラーな銘柄に入ると思います。
量販店には概ね並んでいますし、バーボンの種類が少ないバーや、居酒屋さんでも見かけることがあります。
それほどポピュラーな銘柄ですので、バーボン好きからは見下されていたのは否めません。
恥ずかしながら、私もそのひとりでした。最後の飲んがのがいつだったか記憶にありません。
しかし、歴史のある蒸留所の製品ですので、店在庫の4種類を飲み比べてみることにしました。
フォア・ローゼスってどんなバーボン?
フォアローゼス蒸留所の創業は1888年だと言われています。
その後1900年初頭にフランクフォート蒸留所と吸収合併され、かの有名な禁酒法時代を迎えますが、薬用ウイスキーの認可を得て生き残ります。
しかし、1943年にカナダの酒造メーカでありシーグラム社に買収されてしまいます。
そして、2002年からキリンホールディングスの傘下になり、製造・販売を行っています。
母体が変わっても、製造方法は変わらなかったようで、中でも【2種類のマッシュビル】と【5種類の酵母】から【10種類の原酒】を製造して、ラインナップごとにブレンドしているとのことです。
同じボトルでも、出荷先の国によりレシピを変えて出荷されているのは、多種の原酒を製造しているからできることなのでしょう。
因みに、日本向けのボトルは、熟成済みの原酒を持ち込み、キリンホールディングスの御殿場蒸留所でボトリングされているとのことです。
4種類のフォアローゼス
イエロー・ラベル(80プルーフ)
フォア・ローゼスのスタンダード品で、価格もリーズナブルなので、飲まれた方は多いと思います。
逆に言えば、それでフォア・ローゼスが嫌いになった方も、少なからずいらっしゃるでしょう。
実は、私もその一人です。
ライトでドライという表現がピッタリとくる飲み口と、いつまでも香る溶剤臭が鼻につき、好きになれませんでした。
この手の飲み口は、ソーダ割に適していますが、同じ価格帯で好きな銘柄があったせいもあり、飲むことは無かったです。
これは日本向けの味なのかも知れませんが、他国の流通品を飲んだことがないので判りません。
フォア・ローゼスがお好きな方は別として、初めて飲まれる方にはおすすめしていません。
ブラック・ラベル(80プルーフ)
日本限定で販売されいる製品だけあって、日本人好みの飲み口になっているのでしょう、イエロー・ラベルよりも人気があるのも頷けます。
イエロー・ラベルとは比較にならない程に、香りや旨味が格段に違います。
樽香も充分に感じられ、同じプルーフとは思えません。
価格の面から言っても4種類の中では一番のおすすめ品です。
特に、イエロー・ラベルを飲んでフォア・ローゼスが嫌いになった方に飲んで欲しいです。
ひょっとすると、フォア・ローゼスを見直す切っ掛けになるかも知れません。
スモールバッチ(90プルーフ)
メーカー・サイトによると、6年以上熟成した樽の中から厳選した4樽のブレンドからできているのことです。
滑らかな飲み口が特徴で、甘さを感じる果実香もあります。
フォア・ローゼスの特徴だと思っている溶剤臭も、気にならない程度に抑えられていてバランスがいいです。
この全体のバランスの良さがスモールバッチの特徴なのでしょう。
でも、価格から考えれば少し物足りなさを感じるところもあります。
例えば、もう少しコクのような深みがあれば手に取る回数が増えるのは間違いありません。
気軽に飲める価格帯ではありませんが、ちょっと違ったフォア・ローゼスを味わいたい方にはおすすめします。
シングルバレル(100プルーフ)
7年以上熟成された原酒をブレンドすることなく、単一の樽から100プルーフでボトリングされています。
スモールバッチで感じた足りない部分が補われた印象があるのは、このアルコール度数からかも知れません。
果実系の香りや甘さと、ライ麦特有のスパイシーさのバランスが良く、溶剤香も気にならないレベルです。
バランスの良さは特筆できるレベルなので、100プルーフを感じさせないほどスムーズに飲めます。
一期一会とも言われるシングルバレルなので、ボトルにより微妙な個体差はあります。
今のボトルは3本目になりますが、前の2本と比べスパイシー感が強いので気に入っているボトルです
ご褒美用の価格帯になりますが、機会があれば飲んでみてください。
フォア・ローゼスへの印象が変わるかも知れません。
まとめ
リーズナブルなバーボンとして認知されてしまった【フォア・ローゼス】ですが、アイテムごとに飲み口が違う珍しい銘柄でもあります。
この他では、日本限定販売されている【プラチナ】があり、高額にも関わらず人気らしく、時折リクエストがあります。
残念ながら、味と価格のバランスを考えた結果、店には置いてありませんのでご了承ください。
それは【5種類の酵母から造られた、10種類の原酒】を持つ【フォア・ローゼス】ならではの芸当と言えるでしょう。
今回は、好む好まないには拘わらず、飲み比べてみると面白い銘柄だと気づかされました。
これまで【フォア・ローゼス】を飲んだことのない方は、手ごろな所から飲み比べてみるのは如何でしょう?
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