死角 巨大事故の現場

柳田邦男(著) 昭和60年 新潮社

【マッハの恐怖】【ガン回廊の朝】等の著作で、当時のノンフィクション界に新境地を開拓された感のある著者が、事故はなぜ起こるのかという基本的な問題に【死角】という観点から答えを導き出そうとしている1冊である。

週刊誌等に掲載したものに加筆訂正を加え、

1. 日航ジャンボ機墜落事故の死角
2. 安全性の死角
3. 人間能力の死角
4. 巨大化時代の死角
5. 都市災害の死角

と、【死角】別の5章で構成されている。

数十年も前の状況であるから、すでに改善されている部分もあにると思われるが、記憶にも新しい大惨事を例にとるまでもなく、いまだに旧態依然とした部分が放置されているのも事実だろう。

いみじくも、著者は、最終章で、かって関東大震災の被害調査を行った物理学者の言葉として、

『・・・・・・昔に比べて今の人間がちっとも進歩していない。進歩しているのは物質だけでしょう』

と引用されているが、このあたりに基本的な答えが隠れているように感じられた。

幾度となく再読する度に、切れ味の鋭い著者の文章の重さが増してくる、時代を超えた良書に違いない。