酒場のオヤジ 考

ひょんなことから【酒場のオヤジ】になり、はや21年。よくも続いたものである。
それなりの苦労(?)もあるが、好きなことを続けられるのだから、文句は言えない。
先日、同業者らしきオーナーさんの書かれたコラムを拝見する機会があった。
開店当初は行列ができて、予約もままならなかった店が、のちに閉店したことを引き合いに出し、繁盛店が閉店に追い込まれる理由について述べられていた。
これが、繁盛店セミナーに誘い込むサイトや、飲食店経営の経験のない方の記事なら読みもしなかったのだが、この方は繁盛店の現役オーナーらしかったので、つい熟読してしまったのだ。
早い話【客が来なきゃ店はつぶれる】という内容だったが、それは、まさしく自明の理である。
しかし、矛先を【客】に向けていた部分だけは、私と相容れない考え方だった。
その方が目指す方向は間違ってはいないと思う。
現に、この方の店は大繁盛されているらしいし、それは、この方の弛(たゆ)まぬ努力の賜物に違いない。
若き賛同者のコメントも多く見うけられた。
しかし、選択肢を持つ側に矛先を向けた論法からは、明快さは伝わってくるものの、商売への心意気が感じられなかったのだ。
まっ『そんなことを言ってるから流行らないんだ』と言われれば、もっともなことなので致し方ないのだが、何とも釈然としない思いが湧いてしまったのだ。
やはり、私は【酒場のオヤジ】で、飲食店の経営者にはなれないのだろう。
しかし、今はそのことが、いちばん心地よく思えて仕方ないのである。
あれやこれ能書きたれて酒を煮る 【粋春】


